小田一生・インタビュー 夢を口にしよう! “言葉”という力が、夢を現実に変えてくれる!

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夢を口にしよう! “言葉”という力が、夢を現実に変えてくれる!
87年の発表以来大ヒットした少女マンガ『笑う大天使(ミカエル)』(白泉社)が、19年の歳月を経て、映像化決定! 今回は、ユニークなセリフ、哲学的な解説で人気を博したこの作品を映画化した小田監督にインタビュー。映画作りの苦労話や見所をお聞きしました。
小田一生
おだいっせい
1965年、長崎市出身。大学在学中より映像ディレクターとして活動。VFXの豊富な知識とマンガ家を志したほどの画力を活かし、ゲーム、CMなどの企画、構成、キャラクターデザイン、演出等、映画、テレビドラマなどのVFXのスーパーバイザーを務める。作品に、PSソフト「GAMERA2000」、PS2ソフト「the FEAR」やCM「コカコーラ2000」の演出、映画『うずまき』『花田少年史』、テレビドラマ『ごくせん』『火垂るの墓』などがある。本作品は劇場用長編映画監督デビューとなる。
小田一生
©MIchael Partners
小田一生
©MIchael Partners
『笑う大天使(ミカエル)』
80年代のマンガファンを虜にした川原泉の同名作品を映画化。女手一つで育ててくれた母が他界し、生き別れだった大金持ちの兄と再会し、同居することになった司城史緒。転校先は由緒正しきお嬢様学園、聖ミカエル学園。そこには「ごきげんよう」と挨拶をする上流階級の生活が待っていた……。猫をかぶる友達、和音と柚子、二人の友達に恵まれた史緒。花びらがひらひら舞うお嬢様の世界に慣れた彼女たちを待っていたのは、お嬢様を狙った誘拐事件だった!
監督・VFX/小田一生
原作/川原泉
出演/上野樹里、伊勢谷友介、関めぐみ、平愛梨ほか
配給/アルバトロス・フィルム
7月15日(土曜)渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋他、全国拡大ロードショー
http://www.michael-movie.com/

小田一生小田監督のサイン&ダミアンイラスト付き映画プレスと原作『笑う大天使(ミカエル)』をセットで3名様にプレゼント!

応募は2006年8月7日をもって終了させていただきました
小田一生
小田一生
©MIchael Partners
――原作のマンガ『笑う大天使(ミカエル)』(川原泉 白泉社)ですが、映像化は難しいと思うのですが、なぜこのマンガを映画化されたのですか?
よく聞かれるのですが(笑)、ボク自身は非常に映像化しやすい作品と思っていました。映画の企画を提出するよう依頼をいただき、80年代の少女マンガにスポットを当てたんですね。同じく川原泉先生の『架空の森』(『美貌の果実』に収録 白泉社)や、くらもちふさこ先生の『東京のカサノバ』(集英社)など、いくつか候補を挙げたのですが、中でも大好きな『笑う大天使(ミカエル)』に決定しました。ボク、実はこのマンガを5セットも持っているんですよ。貸し出し用、自分用、保管用、その他2セット。ここまでファンなのですから、ぜひ映像化したかった(笑)。

――長編映画、初挑戦作品とのことですが、長編映画だからこその苦労はありましたか?
ボクは不器用なタイプで、人間群像といった複雑な話はまだ無理。できるだけシンプルな物語をきちんと描きたかった。80年代の少女マンガというのは表現方法が多種多様で、優しさ、厳しさを盛り込みながら、けれど非常にシンプルに、主人公たちの日常を上手に描いている。そういう意味でもボクにとって『笑う大天使(ミカエル)』はぴったりな作品でした。この小さな物語を丁寧に描くことに全身全霊を傾けた、という感じです。

映画作りというのは、役者、カメラマン、演出家……といったクリエーターが集合して完成させるものなんですね。みなさん、プロとして全エネルギーを監督であるボクにぶつけてきてくれる。器用な方はサラリと流すのでしょうが、ボクは不器用なのでまるごと受け止めてから、誠心誠意熟慮してプロの面々に返す、という作業を繰り返しました。CMやゲームなど、今まで関わった作品は比較的タテのつながりで仕事が進む。トップであるボクがAといったら、それに沿ってスタッフは動く。その中でさまざまな意見は出るけれど、Aが基本。でも映画はクリエーターたちが、最高のモノを目指して主張してくる。結果、限りなくAに近いBができあがることもある。映画というのは、大きなヨコのつながりで創るもの。だから、監督にはそれを受け止めるだけの巨大なパワーが必要、と感じました。


――完成したときの喜びは、その分大きかったのではないでしょうか?
時には話し合い、時にはケンカになりながら生まれた作品です。完成したときは、うれしかったです。企画提出の頃、実は母親が他界して、葬式などの手配をすべて長男であるボクが行ったんですね。本作は上野樹里さん演じるヒロイン・史緒が母を亡くしたことで、生き別れの兄・一臣と再会し、兄との新しい生活が始まる。親を亡くした史緒の境遇、心情がまるで自分とダブって、自分そのものである史緒役を演じた上野樹里さんに、いちばん最初に感動してもらいたかった。仕上げの段階で、VFXスタッフには「ぜひ、上野樹里さんを泣かせるような作品を創りたいんだ!」なんて、絶叫していました(笑)。またボクには2人の妹がいるので、17年間生き別れの妹を大切に思う兄・一臣の心情も投影できました。完成した作品をスタッフで観終わって、上野樹里さんがボロボロ涙をこぼしながらボクに駆け寄ってくれた姿は、ボクにとって最高のプレゼントでした。

――見所を教えてください。
う〜ん、全部が見所です(笑)。史緒役の上野樹里さんは、非常に多面性のある豊かな演技を披露してくれています。また登場するすべての女の子の表情もいい。原作に工夫を加えたラストのエピソードなど、見所は数え切れない(笑)。そして、忘れちゃならない道化役、ダミアンの存在。ヒロインたちが通う聖ミカエル学園の守護神であり、影の主役である黒い大型犬です。映画が形になればなるほど、ここにはダミアンがいるはず、ここでも顔を出すはず、と、こちらが考えなくても自然にダミアンの出番が増えていきました(笑)。この大天使(ミカエル)の手下であるダミアンの存在を気にかけてくれると、さらに映画が楽しいはずです。そうそう、広川太一郎さんのナレーションも素晴らしい。ナレーションの多い映画というのも珍しいでしょうが、広川さんの声がなければ、この作品の魅力は半減したと思います。

――子供の頃から現在の仕事を目指していたのですか?
小学校の頃からマンガ家か、映画監督になりたいと思っていました。手塚治虫先生の作品の大ファンで、小学生の頃から古本屋で手塚先生の初版本を探すようなマニアックな子供でした。手塚先生は、初めてマンガに映画的手法を取り入れた方で、映画を思わせる表現方法でマンガを描かれています。それに子供時代、実家は厳格でテレビを見させてもらえなかったんです。でも学校でもテレビ放映されていたアニメの話には入りたい。それで原作本なんかを読み漁ったんですね。だから、映像はボクの頭の中でできていた。そんな子供時代を過ごしていましたから、マンガと映画、かけ離れたように感じますが、自分の中ではくっついているんですよ。

――夢を形にできた小田監督ですが、今夢に向かって努力しているVeeスクールのユーザーに、アドバイスをいただけますか?
自分がしたいことが明確なら、それを口に出したほうがいい。思っているだけでは何の力にもなりませんが、口にすると、“言葉”という力を帯びます。「映画監督になりたい」と100人に伝えたら3、4人はまともに聞いてくれるはず。まともといっても、心に留めてもらうだけでいいんです。耳にして覚えてくれた人が増えれば増えるほど、その夢につながる道を持つ人に近付く可能性が増えてくる。「そういえば、アイツ、こんなこと言ってたな……」とその夢につながる何かを紹介してもらえる可能性が、ただ“言葉”にするだけで生まれるんですよ。例え100人に3、4人でも、その“言葉”が心に響いた人にとっては非常にリアルな情報なんです。もちろん“言葉”にしたからには、責任も生まれますが(笑)。

ボクは子供の頃、ウルトラマンの特撮に憧れ、特撮を撮るにはどうしたらいいか、考えました。そして情報を集めて、ウルトラマンを作った円谷英二さんが行ったことを勉強して実行し、その傍ら周囲には「映画監督になる!」と宣言していました。その結果、今こうして大好きな作品を映画化することができました。夢をかなえることは難しいかもしれませんが、その思いを“言葉”にしてみてください。簡単ではあるけれど、夢に近付く第一歩になるはずです。

――ありがとうございました。これからもステキな作品をファンに届けてください。
撮影/平賀哲
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